ADSLについて
ADSLは、半端じゃなく「ノイズ」に弱いので、他の通信に比べ、不安定接続になりやすい特性をもっていると思います。それでも、ちょっとした配慮をすれば、少しは現状が改善するので、そのために覚えておくといい知識をトラブル回避情報としてお伝えします。
遅い・切れる・不安定
ADSLにしたのに、全然速くない! 通信がよく切れる! そうさ、通信が不安定すぎるんだ! みたいな、三段論法にもならないようなひどい状況の場合は、ADSLの特性を知って、原因に沿った対応をしたほうが解決は早いです。
基本的な原因は、「ADSLが安定していない」ということです。でも、なんで不安定な通信になってしまうか? その直接的な原因は、いくつか考えられます。
なお、これらの原因を考える前に、ADSLを使う大前提――NTT収容所からの距離について、説明しておきます。NTT収容所から距離が長いと、通信が不安定になる理由
ADSLでは電話線を使用しています。電話線は、距離が長くなると高い周波数が届きにくいという特徴があります(というか、そもそも電話で高い周波数なんか使わないから、届かなくても支障がなかったし)。だから、電話線を極力短くしないと、下り(受信)時に使用する高い周波数の音が届きにくくなり、結果、通信が不安定になりエラーを起こしやすくなります。
このため、一度に送れるデータ量が減るし、送信に失敗した場合は、今まで送ったものも切り捨てられ、再度サーバーにデータを送ってくれと信号を出して送りなおしてもらったりするので、結果的に通信速度が遅くなってしまうんです。
しかも距離が長くなれば、途中でノイズに出会う確率も高くなります。距離が長くなって、データとして送る音がノイズより弱くなると、データ送信は失敗します。
ADSLリンク速度、そのものが遅い
原因
▼ 劣悪な宅内環境と宅外環境(ノイズが強い)
ノイズが強いと、NTT収容局からの距離に関係なく、データとして送る音よりノイズのほうが強くなり、データ送信が失敗してしまう可能性があります。もっとも、電話線自体が細いとか古いとか、劣化やノイズの影響をもろ受けそうな環境だと、悲惨ですけどね。
自宅内では、プリンタ・ゲーム機・テレビ・オーディオ・冷蔵庫・エアコンなど、とにかく磁場を発生させたり、消費電力の大きな電化製品があると、ノイズを発生し、通信劣化を招くこともあります。他にも、電話線を分岐してるのに、その先にスプリッタをつけてなかったり、電話線を利用したインターフォンとかドアフォンがあったりするとまずいみたいです。
宅外の環境的な要因だと、自宅とNTT収容局の間に、鉄道・幹線道路・工場・ブリッジタップ(回線の分岐)・AMラジオ放送局・高圧線などが存在したり、近所でISDNを引いてる家があったり、24M以上の接続なら、アマチュア無線とかが邪魔したりするらしいです。
処置
▼ 宅内環境の見直し
自宅内の原因の場合は、ADSLモデムの電源を確保するとき、テレビと同じ電源から取らない・近くに置かない......とか、自分でも気をつけるとよいかも。できれば、コンセントから直接電源を確保できると、更にいい。ADSLモデムにアースを付けたり、電話線にノイズフィルタを付けてみるのも効果があるらしいです。とにかく、ノイズが入らないようにするのが一番です。
宅外環境の要因は、引越しをするか、使うのをあきらめるしかないのかもしれない。(^ ^;) ま、ノイズ自体は、いつも同じ強さじゃなく、日々変動するものだから、比較的影響を受けない時間を見つけて、それを狙って接続するという手もある。原因によっては、電話機についてる保安器の交換(電話を着信するとADSLが切れる原因の一つと言われている)とか、回線調整(ブリッジタップの取り外しとか)も効果があるようですが、どちらも有料です。しかも、効果がなくても工事代が請求されます。NTTに相談してみてください。
環境という点でいけば、ISP(プロバイダ)を変えてみるっていうのも、ありなんですけどね。ただ、手間もかかるし、お金もかかるんですよね、それをやると。
▼ 回線の安定化(ノイズ(SNR)マージンの設定)
通信安定のために、ある程度のノイズの変動に対して対応できるようにデータを強めに送るという方法もあります。「ノイズ(SNR)マージン」というのがそれで、ノイズに対して余分にデータに余裕を持たすから、必要以上にデータが多くなるので、このマージンが大きいと安定性は上がるけど速度は低下、マージンが小さいと安定は下がるけど速度は上がる......という、構造になってます。ご利用のプロバイダに依頼すれば、設定できるみたいですよ。
▼ FBM化
回線距離が長く・ISDNの影響が強いときに「FBMモード」にして安定化させます。リンク速度がかなりダウンするけど、速度が遅くて全然安定してないときは効果があるみたいです。アッカの場合は、この手が使えるみたいです。詳しくは、アッカのホームページを参照ください。
アッカが採用した「Annex C」は、特にISDNの影響を考えた仕様で、もともと、ISDNの干渉があるときは速度(周波数)を落とし、干渉がないときは速度を上げるって構造らしいです。だから、ISDNの影響があるときは、ある程度、有効なトラブル回避になるかもしれない。このモードのときは、ISDNが強いとき(NEXT)にはデータ転送は行わず、ISDNが弱いとき(FEXT)にだけ通信を行うことにより、ISDNの影響を極力排除するようです。ただし、最高速度が、下り 3424kbps、上り 416kbps に制限されます。
パソコン側の設定が悪い
原因
▼ ブロードバンド対応じゃない or ネットワーク数値がおかしい
Windows XPは、常時接続・ブロードバンドを意識して設計されたOSなので、それなりの速度が出る仕様になっています。ですが、それ以前のOS、Windows 95/98(98/98SE)は、ダイヤルアップ接続が前提だったので、速度なんか出るはずありません。なお、95系OSでも、WIN MEは、一応、ブロードバンドに対応してるんだそうです。
あとは、ネットワーク通信上で設定すべき数値が合っていないと通信速度が遅くなることがあります。一般的にいわれているのは、一度に転送できるデータ量の最大値である「MTU」と、エラーチェックなしで転送できるデータ量を設定する「RWIN」の数値です。
【MTU(エムティーユー:Maximum Transmission Unit)】
「MTU」値が小さすぎると、せっかくの高速接続も宝の持ち腐れで、データ転送量自体を小さく設定しているため何度も通信のやりとりをしなくてはいけなくなり、結果、速度が低下してしまいます。でも、ADSLリンクが不安定な状態で、「MTU」値を大きくとってしまうと、途中でデータ転送に失敗したとき、すべておしゃかになってしまい、何度も転送要求をすることになり、最終的にデータ転送速度が遅くなってしまうことがあります。
ADSLリンクの安定性を確保しつつ、安全に転送できる最大値を導き出せると、かなり速度を上げることができます。95系OSの場合、この「MTU」値が小さめに設定されているので、ここの値をいじると効果大。NT系OSは、もともと大きめに設定されているので、95系OSほど、効果は期待できないようです。
【RWIN(アールウィン:Receive Window size )】
「RWIN」値は、TCP/IP上で、受信確認を送信側に送る間隔を示す値です。TCP/IPでは一定量のデータ受信をするたびに受信確認をしていて、もし途中で受信したデータにエラーがあったら再送信要求をするような仕組みになっています。とにかく、RWINで指定したバイト数だけデータを送ったら、ここで転送を中断し、「ちゃんと送れたよ(ACK)」「途中でおかしくなっちゃったから、もう一回送って(NACK)」という情報を受け取らないと、サーバー側が次のデータを送ってくれない仕組みなんです。
RWIN値が小さいと、この確認のやりとりが増える上に、確認が終わるまで転送自体が止まってしまうので、処理効率は悪く時間がかかってしまいます。でも、RWIN値が大きすぎると、いざ、送信エラーが起こったときに、その分だけ再送してもらわないといけないので、再送信にかかる時間がやたらめったらかかることになり、処理効率はこれまた悪くなります。
RWINの性質上、この数値が最適という目安は立てにくいんですが(回線の通信速度・通信エラーの発生率なんて、千差万別だ)、95系OSは、一般的にRWIN値が小さいすぎるといわれているので、ソフトなどを使い数値をいじってみるといいでしょう。
処置
▼ Windows XP や フリーソフトを使う
XPにアップグレードするか、95系OSのままで使うなら、「EditMTU」などのフリーソフトを使い、ネットワーク通信で使う「MTU」「RWIN」の数値を最適化してみるのがいいんじゃないかと。(^ ^;)
このソフト、細かくチューニングもできるし、自動設定もできるから、初心者にも上級者にもお勧めです。ブロードバンド情報のコミュニティサイトをのぞくと、チューニングの情報とかが公開されているので、参考にするといいと思います。
なお、「MTU」数値ですが、一般的な目安として、PPPoA は「1500」、PPPoEは「1454」以上に設定すると、かえって速度が遅くなったり、ページにアクセスできなくなったりする......と、言われています。 ※ブロードバンドルーターを利用している場合は、XPに変えようが何をしようが意味がありません。ルーター側の設定を適正化してください。適正化の方法などは、付属のマニュアルなどを確認ください。
【ADSLモデム自体のバージョンアップも忘れずに!】
ADSLモデムのファームウェアのバージョンアップもこまめにおこなってくださいね! ADSLキャリアのホームページから、最新のバージョンをダウンロードできるようになってます。あと、ルーターのファームウェアをバージョンアップすると、スループット(処理速度)が向上するので、速度アップにつながります。何にせよ、ADSL接続に必要な機器でバージョンアップできるものは、全部やっときましょう。
【パソコンの処理速度にも注目!】
パソコン自体の処理速度が遅かったら、 当然、通信速度も落ちます。パソコンを高性能なものに買い換えるというのも、実はスピードアップの一つの手といえます。(^ ^;)
インターネット(サーバー)側の要因
原因
▼ サーバーが混んでいる
ホームページを見るということは、どこかにそのWEBサイトのファイルが保存しているサーバーがあって、そこにリクエストを送って、そのページを表示してもらうんですが、アクセスが集中している場合、サーバー側がそのリクエストをさばききれなくて処理が遅くなっていることがあります。インターネット攻撃の一つの「DOS攻撃」は、こういう状況をわざと作り出すんですが、人気のあるサイトになると、サーバーの能力により、こういう現象も起こり得ます。
見たいサイトのサーバーにアクセス集中がなくても、そのサーバーからNTT収容局までの経路上に混んでいるところがあれば、当然、伝送速度が遅くなります......渋滞にひっかかったようなものですから。そういう意味でいえば、インターネットの利用集中の起こる、夜11時~夜中の2時くらいまでは、どこも混んでいるのでADSL接続速度は相対的に落ちていると思います。
処置
▼ 時間をずらして遊びに行く
比較的すいている道で移動すれば渋滞に引っかからずに目的地に着けるという具合で、渋滞が起こっていそうな時間を避けるとか、渋滞が起きそうなルートじゃなく、他の道で行っているとか......基本は快適ドライブのためのノウハウと同じです。
人気サイトになれば、ミラーサイトがあるので、そっちにアクセスしてみるとか、利用時間を午前中にずらしてみるとかすると、けっこう速度が速くなってたりします。
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